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神の隠された道

 神の隠された道

 なぜ、心正しい人が苦しみ、卑劣な人々が栄えるのか。
 ラビ・レヴィは、この答えを探し、神に教えてくださるように祈った。

 ある日、彼のもとに預言者エリヤが現れた。
 この質問を受けたエリヤは、ついてくるように言った。その際、「疑ったり、質問したりしないように」と厳しく命じ「なぜだと質問したときはもうおしまいだ」と言った。

 夕方、あばら屋にたどり着いた。牛と夫婦が生活していた。夫婦は、二人をあつくもてなした。
 翌日出発するさい、エリヤは、夫婦の飼っている牛が死ぬように祈った。この祈りが神に聞き届けられて、この夫婦の大事な牛がほどなく死んだ。

 ラビ・レヴィは怒りに胸が震えた。

 ある日の夕方、けちな金持ちの豪邸にたどり着いた。金持ちは自分の家の壁が崩れ落ちて不機嫌だった。エリヤとラビは一晩の宿を頼んだが、裏手の庭の石のベンチを示された。
 夜が明けると、エリヤは、金持ちの崩れた壁がすぐに元通りになるようにと神に祈った。この祈りは神に聞き届けられて、目の前で壁が忽ち立派に修復された。

 二人は、一日中歩き続け、大きな町についた。金銀宝石で豪華に飾られたきらびやかな会堂があった。町の人々は大変裕福だった。
 町の人々は、二人をみて、貧乏人には塩と水と少しのパンを恵んでおけばいいと言った。
 エリヤは、翌朝、人々がみな立派な指導者になりますようにと神に祈った。
 ラビ・レヴィはこんなおごり高ぶった人々になんという祈りだと憤ったが、口はつぐんだ。

 二人は一日中歩き続け、日暮れ前に町にたどり着いた。
 この町の人々は二人を喜んで迎えて一番上等な家で上等な食事や飲み物で歓待され、楽しい時を過ごした。
 翌朝、エリヤは、この町が一人の統率者に支配されますようにと祈った。
 ついに、ラビ・レヴァは、我慢できなくなって言った。

 「善良な人々に災難ばかりが降りかかるように祈るとは何事ですか。悪人にはよいことばかり起こるように祈りそのとおりになっているではありませんか。なぜですか」

 エリヤは、「質問しない約束だった。お別れの時が来たようだ」と言った。
 そして、すべてを解き明かした。
「貧しい善良な夫婦は、その夜、妻が死ぬ運命だったのだ。
 けちな金持ちの家の崩れ落ちた壁の下には金銀財宝が埋まっていたのだ。修理したらそれが見つかるところだった。壁はまた崩れ落ちるが、けちな金持ちはそのころは不幸のどん底で修理どころではないのだ。
 おごり高ぶった町は、みんながリーダーとなり内輪もめで滅びるのだ。
 楽しい時を過ごした町は、優秀なリーダーのもとでさらに栄えるのだ。適材適所でリーダーは一人でよい。
 神の隠された道に心をとめるのだ。目に見えたことがすべてではない。悪く見えることが真に悪ということもないのだ」
 そう言い終わるとエリヤは、忽ち目の前から姿を消した。

ユダヤ賢者の教え〈3〉 (ミルトス双書)
 
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